ガンプラの仮組みをする目的は作品をどんな完成形にするかで人それぞれ正解が変わってくると思います。

本記事では、

  • これから全塗装に挑戦するけど、仮組みしたら何をすればいいの?
  • 説明書の作例のような綺麗な作品をつくるにはどうしたらいいの?

このような疑問を持っている方に向けて、仮組みで最低限確認したいことを紹介していきます。

キットに手を加える前に、どんな工程が必要になってくるかを明確にすることで作業の計画を立てたり大きな失敗を防げるといったメリットがあります。

合わせ目の確認

肩パーツの合わせ目

合わせ目とは金型の都合でできた設定画にはない分割線のことで、目立つところに線が走っているとせっかくのキットがなんだか締まりのない印象に。

目立つところを処理すると、不自然さがなくなるので積極的に消していきたいところですね。

合わせ目に対するアプローチは下記の3通りに分けられます。

合わせ目に対するアプローチ
  • 合わせ目を消す
  • 合わせ目を活かす
  • 合わせ目をみなかったことにする

それぞれ解説していきます。

合わせ目を消す

合わせ目を消したいパーツに挟み込むパーツがあるかないかでその後のやり方が変わってきます。

挟み込むパーツがない

一番楽なパターンですね。何も考えずムニュっと接着してヤスりましょう。

挟み込むパーツがある

挟み込むパーツがある場合は「後ハメ加工」を検討する必要があります。

後ハメ加工とは挟み込むパーツを「後からはめ込む」ようにするための加工方法です。

塗装するとき外部パーツと内部パーツを別々に塗ることができるので、マスキング工程を飛ばせるメリットがあります。

関節パーツを挟み込む場合は、関節パーツを先に仕上げてからマスキングして合わせ目を消しましょう。

後ハメ加工の注意点

関節などの力がかかる所は後ハメ加工をしないほうが無難です。保持力が低下してポージングを上手くできなくなってしまう恐れがあります。

後ハメ加工のやり方はモデラーの数だけ答えがあって正解がいっぱいあります。

筆者は後ハメ加工に慣れていない頃は正しい答えがあるはずだと思い込み、答えを探すのに必死になって調べるのに多くの時間を費やしてしまいました。

失敗したくない!って気持ちが強かったんですね。

でも実際に手を動かしてみると、あっけなくできてしまったり、解説通りやってもうまくできなかったり。

いずれにせよ、実際に手を動かしてみないとどうなるかなんてわからないんですね〜。

手を動かせば何かしらの経験値がたまります。その経験が次の作品に絶対に活かされます。

なので後ハメ加工は思いのまま、「えいやっ」と気楽に手を動かしてみましょう!
目的が果たせれば、加工内容はなんだってOKです。

合わせ目を活かす

後ハメ加工のやり方が思いつかない!そもそも合わせ目の接着がめんどくさい!という時は、いっそのこと合わせ目を段落ちモールドにしてしまうことをおすすめします。

やり方は、合わせ目があるパーツの片側の縁部分をナイフなどで削って、あえて溝を広くしてやります。

胴体の段落ちモールド化
▲右側を段落ちモールド化

こうすることで合わせ目を手軽にディティールに見せることができます。

注意点はやりすぎると悪目立ちして不自然に見えてしまう恐れがあるので程々に追加しましょう。

合わせ目を見なかったことにする

心の目で消してしまいましょう。

合わせ目消しは工作入門みたいな位置付けで紹介されていますが、「キレイに消す」となるとそれなりの根気が必要になってきます。

合わせ目消しに慣れていないと接着箇所がひけてしまったり、瞬着だと気泡の穴が空いていたり・・・。

それを修正するために盛っては削ってを繰り返します。

正直めんどくさいです。

どれくらい目立たなくなればいいかは「完成品をどのように仕上げたいのか」によって違ってきます。

合わせ目消しに苦手意識があって、ストレスを感じるくらいなら無理にやらなくていいと思います。

ガンプラは楽しみながら作ってなんぼですから。

パーティングラインの確認

パーティングラインとは金型の成形の都合でできた段差、突起のことです。

合わせ目と同じく設定画にはないラインなので、地味ですが消すことで完成後の不自然さを解消できます。

目立つパーティングラインに印をつける

仮組みしたガンプラを眺めると様々なところにパーティングラインが通っていると思います。

目立つところはマーカーなどで印をつけておきましょう。

パーティングラインにマーキングしたもの
▲パーティングラインをペンでマーキング

マーキングしておくことでガンプラを分解した後にパーティングラインの消し忘れを防ぐことができ、逆にマーキングがないところは完成後見えない箇所なので処理の手間を省けます。

パーティングラインを見落としがちなところ

関節の可動部で素立ちでは見えないけど、動かすと表に出てくるところは見落としがちなので、プラモを動かしてチェックしましょう。

膝のパーティングライン
▲膝を曲げた時、がっつりパーティングラインが見えます

完成後に処理忘れを発見するとゲンナリしてしまいます・・・。

取り扱いに注意が必要なパーツの確認

仮組み時に意識したいことは、取り扱いに注意が必要なパーツを確認しておくことです。
確認しておくことで、分解時や最終組み立て時のパーツ破損のリスクを抑えることができます。

特に下記のようなパーツは事前にチェックしておきましょう。

取り扱い注意のパーツ
  • 破損しやすい形状のパーツ
  • 一度取り付けると分解が困難なパーツ
  • ハメ合わせに調整が必要なパーツ

それぞれ解説していきます。

破損しやすい形状のパーツ

特徴は細い、薄い、長いが挙げられます。

加工や、組立て時に必要以上に力を加えるとバキっといくので十分取り扱いに注意しましょう。

壊れやすいパーツ
▲しなりやすいので分解するとき折れそうで怖い

一度取り付けると分解が困難なパーツ

特徴はハメ合わせた後にパーツオープナーなどのこじ開けツールを差し込むとっかかりがないこと。

センサーパーツ
▲センサー部分に多いです

このようなパーツは仮組みの時はハメ込まず、最終組立て時にハメ込みましょう。

どうしても仮組みで組込みたい場合

はめ込むパーツの裏側にドリルで1mm程度の穴を開けておきましょう。

こうすることで開けた穴から爪楊枝でパーツをつついて外すことができます。

ハメ合わせに調整が必要なパーツ

ガンプラを組んでいると、ときどきハメ合わせが異様に緩かったり、キツい箇所があります。

緩い場合は、塗装後に塗膜によってちょうどいい渋みになることもありますが、そうじゃないときはポロポロとパーツが外れてポージングをするときにストレスになります。

キツい箇所をそのままにしておくと、塗装後に塗膜で厚くなりさらにキツくなります。
その状態で組み込むとパーツが割れるといった、最悪の事態になりかねません。

そういった箇所の調整方法を紹介していきます。

緩い箇所の対策

対策1 スナップフィットをキツくする

ポロポロとパーツが外れる場合はスナップフィットのピン側を接着材などで太らせましょう。

やり方は、ピン部分に接着材を塗布して太らせます。

接着剤が乾燥したら太らせたピンを任意の太さになるように削ります。

対策2 最終組み立て時に接着する

使用する接着剤は瞬間接着剤、プラセメント、エポキシ接着剤などが挙げられます。使いやすいもので大丈夫です。

やり方は、ダボ穴に接着剤を少量塗布して組むだけです。

筆者のおすすめはエポキシ系接着剤です。この接着剤は主材と硬化剤の2液を混合して使用します。
がっちりパーツを接着できるので強度を確保できますし、接着剤の粘度が高いので盛り付けがしやすいです。

接着剤を塗布するときの注意点

ダボ穴に接着剤を大量に塗布すると、液がはみ出てきて塗膜を溶かす恐れがあるので塗布料に注意しましょう。

キツい箇所の対策

対策1 ダボ穴をドリルで広げる

ダボ穴を覗いてみると側面にわずかな膨らみが見えると思います。
この膨らみをノミやドリルで削ることでスナップフィットを緩められます。

ドリルを使用する場合はダボ穴と同じサイズのものを使用しましょう。

想定以上に緩くなる可能性もあるので、そうなった場合は最終組み立て時に接着しましょう。

対策2 ダボピンを短くする

ダボピンを短くカットする方法も有効です。ちょっとだけダボピンが残っていれば位置決めできるので手っ取り早く緩くできます。

またこのような板状のダボは突起部分をナイフやヤスリで削ることで渋みを調整できます。

可動域の確認

ガンプラを完成させた後ポージングさせたい場合、仮組みで確認しておいたほうがいい項目は下記の2つが挙げられます。

可動域の確認で意識すること
  • 塗装が剥がれそうな所の確認
  • イメージ通りのポージングができるか動かしてみる

それぞれ解説していきます。

塗装が剥がれそうな所の確認

実際にキットを動かしてみて、パーツにこすり傷が付くところは要注意です。

肘関節のこすり傷
▲肘関節パーツにこすり傷

塗装した後に動かすと塗膜が剥がれてせっかくの塗装が台無しになってしまいます。
そんな箇所は、パーツとパーツの間に隙間を作る必要があります。(いわゆるクリアランスの確保)

やり方は関節パーツを挟み込む場合、関節パーツと外装パーツの間に0.1mm程度の隙間ができるように削ってやります。

こうすることで塗膜が剥がれるリスクを抑えることができます。

イメージ通りのポージングができるか動かしてみる

完成後に初めて動かすのはリスキーです。
無理な可動をさせて塗膜が傷ついたり、最悪パーツの破損にも繋がりかねません。

ですので仮組みの段階で今作っているキットがどの程度動くのかを把握して、トラブルを未然に防ぎましょう。

完成後の破損はメンタルにきますので・・・。

塗り分け箇所の確認

HGサイズだと1つのパーツを複数の色で塗り分けたい場合があると思います。

部分塗装を筆塗りするのなら特に問題はないですが、エアブラシを用いる際はマスキングをする必要があるので、仮組みの段階で塗る順番を考える必要があります。

筆者のおすすめは「一番奥まった所から塗る」です。

一番奥から塗るメリットは次のことが挙げられます。

メリット
  • マスキングが楽にできる
  • 色と色の境界をキレイにしやすい

逆にデメリットは次のことが挙げられます。

デメリット
  • 暗い色から明るい色にしたい場合発色させるのが大変
  • マステをパーツ上でカットする時、慣れていないとキズが付く可能性がある

「一番奥まった所から塗る」方法は、慣れるとマスキング作業が非常に楽になります。
ですが、暗い色から明るい色にしたい場合、一旦サフなどで下地をリセットする必要がでてきます。

また一番奥まったところから塗る以外に、「隠蔽力の弱い色から塗る」方法もあります。

場面によって使い分けることが大事になってきます。

まとめ

以上ガンプラの仮組みで最低限確認したいことをご紹介しました。

今回の記事のおさらいをしますと以下の通りです。

まとめ
  • 合わせ目の確認
  • パーティングラインの確認
  • 取り扱いに注意が必要なパーツの確認
  • 可動域の確認
  • 塗り分け箇所の確認

これらを確認して、大きな失敗を未然に防いだり、作業計画を立てるのに役立てましょう。

いつもよりワンランク上の作品が完成するはずです!

なお、仮組みで確認することは「最終的にどんな完成品にしたいか」で内容は変わってきます。

今回紹介した5つの確認事項はあくまでも一例に過ぎないので、何をすべきか迷ったとき、制作の参考にしていただけたら幸いです。